「もののけ姫」より:英語の吹き替えから思う日本文化③

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外山周です!

「もののけ姫」の英語吹き替えの台詞と、そこから分かる日本文化についての記事をシリーズで書いています。

今までタタリ神をdemonと訳すことについて書いてきましたが、今日はいよいよタタリ神となったナゴの守が死ぬシーンの英訳を見ていきたいと思います。

 

ひいさま / Wise Woman
名護の神 / Nago

まずは重要な台詞を言うキャラから確認していきましょう。

まずはひいさまです。

ひいさまは村の巫女です。

古代の日本の村で、占いをして村のまとめやくを担っている女性です。

吹き替えでの呼び名は「Wise Woman」で、直訳すると「賢い女性」になります。

全てを見通せる者にたいして、wiseという単語を使います。

 

次にナゴの神。

日本語では、「ナゴの神」や「ナゴの守」と呼ばれますが、吹き替えでは単純に「Nago」となります。

英語の god は一神教の神をさすので、この単語に固有の名前や数がつくのに違和感があるのかもしれません。

 

1.台詞「かしこみかしこみまをす」

では、倒れたナゴの神とひいさまの会話シーンを見ていきましょう。

日本語

① いずこよりいまし荒ぶる神とは存ぜぬが、かしこみかしこみまをす。(ひいさま)

② この地に塚を築き、あなたの御霊をお祀りします。(ひいさま)

③ 恨みを忘れ、鎮まりたまえ。(ひいさま)

④ 忌々しい人間どもよ。我が苦しみと憎しみを知るが良い。(ナゴの神)

 

英語

① Oh nameless god of rage and hate, I bow before you.

② A mound will be raised and funeral right performed on this ground where you have fallen.

③ Pass on in peace and bear us no hatred.

④ Disgusting little creatures. Soon all of you will feel my hate, and suffer as I have suffered…

 

英語の台詞の日本語訳

① 名前のない、怒りと憎悪の神様。あなたの前に跪きます。

② あなたが倒れたこの土地に、塚を作りお葬式をきちんと行います。

③ どうか、私たちが平和であることを我慢して、安らかにお眠りください。

④ 汚らわしい小さな生き物どもめ。すぐにお前たち全員が知ることになるだろう、私の憎悪と苦しみを。私が苦しんだのと同じ、その苦しみをな…。

 

2.今回の日本文化:「お祀り」の概念

① かしこみまをす=bow

「かしこみ」は祝詞に出てくる言葉で、正しくは「恐み恐みも白す」と表記します。

意味は非常に曖昧で、「畏れ多いと思いかしこまること」です。

英語の台詞ではひと言で「bow」とされていますが、これはひいさまがナゴの神の前で礼をしているからかもしれません。

 

② あなたの御霊をお祀りします

「祀る」とは、儀式を整えて霊を慰めることです。

直訳すると真っ先に「worship」という単語が出てきますが、これは崇拝の意味合いを強めに含むようです。

日本の慰霊のための「お祀りする」をひと言で英語に直訳するとすれば、やはり「funeral(葬式)」や「memorial service(追悼式典)」などが適切なのかもしれません。

もっと詳しく説明しようとすれば、文化背景から説明しなくてはいけなくなります。

 

③ 恨みを忘れ、鎮まり給え

英語での台詞は、「私たち人間が平和であることに耐えてください」になっていて、実に直接的です。

ナゴの神が人間を傷つけたくて仕方ない、平和に過ごすなんて許せない、苦しくて仕方がないと強く思っているのが伝わってきます。

その点日本語では誰に対しての恨みか明記されていないし、ひと言で「苦しみと憎しみを知るが良い」としか言われていないからふんわりしているけれど、その分真意を知った時の怖さが倍増です。

 

③ 我が苦しみと憎しみを知るが良い

日本語の「知る」という言葉には、「一体化する」という意味が含まれています。

ナゴの神は憎しみを思い知らせてやりたかった、つまり人間を呪ってやる、ということなのでしょうが、当然これは直接的な表現とはなりません。

英訳からは「私の苦しみをお前たちにも味わわせてやる」という直接的な憎悪が感じられますが、本来日本語の台詞の裏にも大きな憎悪が込められていそうです。

 

まとめ

・「祀る」は崇拝ではなく、慰霊のためのもの

・肉体の命を失ったものは畏怖すべき霊であり、自然の一部

・神様は怒らせると怖い

 

感想

日本語はどれもふんわりしていて、強い感情がオブラートに包まれている感じがします。

だけど直接的じゃない分、その奥にあるものを感じ取った時はすごく怖いのです。

「畏敬」という言葉がぴったりで、背筋が伸びる感じがしますね。

英語は直接的だから、ある種の別の怖さがありますが、逆に言うと言語に表れる以上のものはないので、安心していられます(笑)。

もののけ姫は全体的に厳かで怖いですが、英語で見ると軽快で、コントみたいで楽しいです。

 


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ABOUTこの記事をかいた人

タロットを媒体に、「今のエネルギー状態」「ちょっと先の未来」「直近で何をすれば良いか」にフォーカスする「未来視セッション」をメインに提供中。

強HSP+共感型エンパスであり、うつ病&自殺未遂サバイバー。

「女性がより輝く」「エンパスがより自分らしく生きる」をモットーに、持って生まれた少しスピな視力を活かして活動しています。