外山周です!
英語を始め、他の言語を学ぶとき、基本的な「時制」がなかなか使いこなせず困ることはありませんか??
学校で英語を日本語にする問題を解いた時も、かなり気をつけて時制を訳さないと減点されてしまって、「意味は通じるじゃん!」と思ったこともあるでしょう。
これは英語が難しいのではなく、日本語の時制が曖昧で難しいせいなのです(笑)。
日本語の時制が曖昧だから、そもそも他言語の時制に当てはめるのが非常に大変なのですね。
外国語を勉強する上では、母国語は分かっているものとして無視しがちですが、母国語の構成が分かると勉強が楽になります!
ぜひ例を見て、日本語の構造を知ってみてください。
日本語は曖昧!
まず前提として、日本語は思っている以上に曖昧で、「時」に殆ど隔たりがないのだと覚えておきましょう。
・日本語には、時制は ほぼ ない
・常に「今ここ」の自分が基準
・これを無意識に判断し、使い分けている
英語は主語動詞がハッキリしていて、時制も未来 / 現在 / 過去と厳密に分かれていますが、日本語は全てにおいて曖昧です。
主語もなく、時制もほぼありません。
英語の現在形と日本語の不一致
日本人が混同しやすい英語の「現在形」を見てみましょう。
英語の現在形は「習慣」
英語の現在形は、基本的に習慣を表します。
・Japanese people eat rice.
→ 日本人は、お米を食べます。
・Kenji plays tennis.
→ ケンジは、テニスをします。
日本人は、昨日も今日も明日もお米を食べます。ケンジは、先週も今週も来週もテニスをします。これが「習慣」ですね。
日本語のニュアンスは曖昧
今度は、上の例文の「テニスをします」という日本語だけを切り取ってみましょう。
英語の時は「習慣」という用途だけでしたが、日本語になった瞬間に用途が増えるのです。
例は4つあるので、1つずつ見てみましょう。
① 習慣
まずは英語と同じ、「習慣」ですね。
② 今の意思
これは「今からテニスをするよー!」という意思表示であって、呼びかけでもあります。
③ 未来の意思
こんな場合はどうでしょう(笑)。「未来にはテニスをやるよ!(まだやってないけど)」というニュアンスになるのが分かりますね。
④ 過去を表す現在形
ちなみにこれは口語では使いませんが、「1927年、新潟に生まれる」のような文です。なんと現在形なのに過去のことを表しているのが分かりますか??
文章にこんな表現が出て来たら、これは「過去」のことだと日本語話者は一瞬で推測しているのです。
日本語の「過去形」は過去じゃない
ここまで「日本語の現在形の曖昧さ」について、例を挙げて来ました。
せっかくなので、「過去形の曖昧さ」についても見てみましょう!
過去形を表す日本語として、「〜した」が思い浮かびますね。なんとこの表現、日本語の過去形は過去じゃないことが多いのです。
①単純過去
英語と同じ、単純に過去の時点を表す「過去形」です。
② 現在
これは今まさに新幹線で大阪に着いたという「現在」か、英語風にいうと「現在完了」を表す時制ですね…。
③ 未来
いつ大阪に着くのかというと、未来のことです。今はまだ大阪に出発する前で、これから出発するのが分かるでしょう。
④ 現在進行形
この場面で思い浮かぶのは、今まさにホームにいて、そこに新幹線が入ってくる光景です。つまり新幹線は今動いている…。英語で言う所の「現在進行形」になります。
⑤ 命令形
はい、こちら命令形です。
日本語の構造を知れば、他言語を話しやすくなる
外国語を話せるように勉強する上で一番困るのは、「日本語ベースで考えてしまって、必死で訳そうとして訳せなくなる」という点です。
このように日本語の基本時制が非常に曖昧なので、日本語から訳そうとすると、
文が思い浮かぶ → 時制を変換する → 訳す
という二重の構造になり、脳に非常に負荷がかかってしまうのですね。
その結果スムーズに話せなくなり、モチベーションが下がり…というスパイラルに陥ると、結局外国語が話せないままになってしまいます。
コツは、日本語に訳そうとしすぎないことです。
こんなにも日本語が曖昧なので、そもそも言語で細かい点まで把握しようとするととても大変です。
日本語は訳のヒントにする程度に留め、あとはどんなシチュエーションで使われるのか、状況として何を表したいのかなど、感覚で脳に覚えてもらうようにしてみてください!
「日本語は全く違う言語なんだ」と分かるだけでも、随分と外国語の勉強に差が出ます。
ぜひ日本語に囚われ過ぎず、外国語学習を続けてみてください!